実力派ダンスボーカルグループのメンバー水沢拓海は、何でもソツなくこなすオールマイティなタイプ。一見完璧に見える拓海だったが、本人は自分が同性愛者だということにコンプレックスを抱いていて、それを隠し続けている。 同性愛者であることもだが、同じグループのメンバーでリーダーの片山広輝に五年も片思い中であることは、拓海にとって絶対に隠しておきたいこと。 しかし、なぜか同じグループのメンバーの一人、市川圭には拓海の二つの秘密が知られていた。さらには、圭は拓海のことが好きだという。 拓海も圭のことが嫌いなわけではないし、グループの後輩としてメンバーとしては可愛がっている。だが、恋愛対象として見たことは一度もなかったし、何より圭はノンケだ。 「ノンケのくせに俺が好きだなんて言われても信じられない。勘違いだ」 拓海も初めは強く突っぱねていたが、まっすぐな愛情を情熱的に伝え続けてくれる圭に次第に絆されていく。 そのうち圭が拓海の一人暮らしの家に押しかけてきて同居することになったが、引っ越してきた日の夜に性的な関係をもってしまう。 圭に惹かれていく一方で、親友として———時に親友以上に拓海を扱ってくる広輝のことが諦めきれない拓海。 広輝には親友としか思われていないことは分かっているけれど、親友以上に思われているのではないかと感じてしまう時もあって、その度に心が揺れてしまう。 親友で長年の片思いの相手広輝のことが諦めきれないけど、好きだと伝え続けてくれる圭のことも切ることが出来ずにずるずると関係を続けてしまう。 広輝か、圭か。拓海が最後に選ぶのは———。 そして、不毛でいびつな三角関係の行方は———。 2021.09.27〜
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