人殺しと殺人鬼。 似て非なる両者には、明確な違いが存在する。 幼少期、とある事件に巻き込まれた少女「時野舞白(ときのましろ)」、十七歳。 舞白はその事件の唯一の生き残りだった。彼女の日常は徹底的に壊された。決して癒えることのない傷を背負った彼女が歩む復讐の道。その道は想像することさえ烏滸がましい程に歪み、沈み、澱み、蝕み、犯し、狂ったものとなった。 幼少期、初めて親からもらったものはバタフライナイフ。 人を殺すことをなんとも思わない殺人鬼「クロ」、十九歳。 クロにとっての殺人は、特別意味を持つようなものではなかった。ただなんとなく。殺せそうだから。 当たり前の前提から狂った日常で、それでも当たり前のように生きている少年に世界はどのように見えているのだろうか。 舞白は、自分の抱える傷を。 クロは、自分が与えた傷を。 それぞれが背負うものが何かの間違いで関わりを持ったとき、二人は何を思い、何を知り、何を望むのか。 これは、運命と呼ばれるものに弄ばれた二人の愉快で爽快で痛烈で残酷で凄惨で救いのない物語、だった。 いつだって挫けてきた。いつだって負けてきた。いつだって奪われてきた。いつだって失ってきた。いつだって間違ってきた。 だから、だからこそ。 二人の歩む道に希望はあるのか。 二人の歩む道に正解はあるのか。 未熟で稚拙な人殺しと、狡猾で不敵な殺人鬼の人生を賭けた革命劇がここに開幕。
読了目安時間:10時間7分
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