「婚約破棄してくれないか、ヴェロニカ」 それは王太子ミハエルが申し出た、誰にも非がない出来事。だって世界を救ってくれた異世界からきた聖女リカが、王太子(好きな人)と結ばれないと死んでしまう呪いにかけられてしまったのだから。リカを本当の妹のように可愛がっていた宰相令嬢ヴェロニカは、その申し出を涙を呑んで受け入れた。 だけどすでに婚期を逃していたヴェロニカになかなか次の良縁が巡ってこない。一年後、ようやくヴェロニカの元へ見合いの話が舞い込む。が、なんと相手は人間ではなかった。 「え、人魚ですか……?」 海を統べる人魚は魔法が使える未知の種族。だけど魔法で人間の姿になっている王子アトルは、ヴェロニカもときめくほど可愛らしい美少年。ただ、彼らが頑張って勉強してきた陸の文化はおかしな踊り(ヲタ芸)や話し方(ヲタ言語)などかなり間違っていて――? それでも二人とアトルの従者マルスと、ヴェロニカは街を散策したり手作り料理を振る舞ってもらったりしながら、少しずつ仲を深めていく。 そして人魚になる薬を飲まされ、海の中を散策したヴェロニカ。アトルの苦難に満ちた境遇を聞いた上で、二人は改めて思いを通じ合わせる。 その後、ヴェロニカの元に元婚約者ミハエルと聖女リカの結婚式の招待状が届いた。宰相の一人娘として、参加しないわけにもいかない。しかも友人代表としての挨拶も任されてしまう。アトルと生きていく気持ちを固めたとはいえ、元婚約者らに何も思わないわけでもない。ただ、心を無にしてスピーチを終えようとした時、一緒に参加していたアトルが敢えて空気を読まない踊り(ヲタ芸)でヴェロニカを声援。それに吹っ切れたヴェロニカは、堂々と自分らしいスピーチをし、ミハエルとリカに喜んでもらう。そしてそれをきっかけに、ミハエルやリカとのわだかまりも解けることになった。 (掲載分までのあらすじ) ※「小説家になろう」様にて完結済み
読了目安時間:1時間45分
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