大学の帰りがけに立ち寄った骨董屋で、川瀬瑞樹は謎の物体を発見した。 店員の老婆はそれを仮面だと言い、瑞樹は不思議な儀式によって気絶してしまう。 気が付くとそこは、瑞樹の知らない森の中。 近くの川の上流から、なんと左腕と右足が切り落とされた、妖精のような見た目の女性が流れてきた。 彼女を救いあげて助けようとしたところへ、元凶である老婆が現れ、瑞樹に告げた。 「キス、しなさいよ。その人と」 一度は反対したが仕方なく行うと、女性の身体が光り輝き、彼女を模した一つの仮面に変化した。 促されるままにそれを顔にはめると、途端に全身に違和感が走り、瑞樹の身体が変化していった。 違和感が収まった後に川面を見ると、そこには先程の女性が瑞樹の服を着て立っていた。 その様子を笑って見ていた老婆は、ここはディエスピラという世界だということ、自分が絶滅したとされるスプリガンという種族の最後の一人であるということ、そして正体は特殊な仮面をつけたヴェネットという名の少女であることを明かした。 種族の復興を夢見ているヴェネットに共感した瑞樹は、自らをアルシオンと名乗り、元の世界に戻る方法を模索しながら彼女の夢を叶えるための冒険へと旅立った。
読了目安時間:3時間23分
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