就職を控えた山崎ほのかは、目を覚ます。どうやら飲みすぎたようで、記憶も曖昧だった。 あろうことか見知らぬ部屋でぱんつ一枚のみを身に着けたまま、シーツにくるまれていた。そこに追い打ちをかけるように彼女のベッドには共に見知らぬ男が眠っているのを目にする。 結婚するまで清いままでいたい! 今時そんなことを思っている彼女にしてみれば、この状況は耐え難いことであった。 ほのかには大学時代から4年間片思いの飯塚幸也がいるというのに、得体の知れない男と一夜を明かしたほのかの不運はそれだけでは終わらなかった。 記憶を無くした夜、クラブに行った先で個人情報が書かれた免許証をどこかに失くしていたようだった。ひょっとしたらあの男の家に置き忘れてきたのではないだろうかと不安になる。更には就職先で鬼のように厳しい上司、真木悠介がほのかを担当することになる。無精ひげにヨレたシャツを着た彼は、仏頂面でいちいち怒ったような口調をしている。同期からも怖がられているような存在だった。 そんな厳しい上司が入社式の日に差し出した封筒には社員証ともう一つのカード。よく見てみると、どこかで失くしたはずの免許証が真木を介して彼女の元に返ってきた。ほのかに悪夢のような記憶がよみがえると共に、醜態を晒してしまったのが自分の直属の上司だと知る。 どうして鬼のように厳しい真木と一夜を共にしてしまったのか。 最悪。最低。自分の過去よ、消え去れ。 そう思っていたのだが、不器用な真木の様々な面を見つけ、ほのかは次第に彼に惹かれていくのだった。 少し天然の山崎ほのかと、仕事の鬼である真木悠介のコメディ恋愛物語。 「小説家になろう」にて同時公開
読了目安時間:6時間25分
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