鷹尾優と佐藤柚子は会社の同僚で、交際三年目に入ろうとしていた。 その矢先、優と共に階段から落ちてしまった柚子は、意識不明の重体に。 「もう十月なのに、桜が咲いてるの。私、夢でも見てるのかな……」 病院で意識を取り戻した柚子は、約二年半分の記憶を失っていた。 「俺は、二年前からお前と付き合ってて——」 「私の好きな人は、進藤先輩だよ?」 そう、柚子は二年と半年前まで、同じ経理課の進藤先輩のことが好きだったのだ。 それでも優は諦められず、もう一度柚子を振り向かせようと必死になり、そんな優に柚子は再び惹かれていく。 しかしそんなある日、柚子の頭の中には幼い頃のある記憶が蘇る。 その記憶は二人に、残酷な真実を突き付けた——。 ※カクヨムでも「君の好きな人は——」として投稿しています。