かつて妖怪は空想上の生き物として考えられていた。しかしながら人間の人知を超えた何者かが暴れ回り長野県を占拠した事件を契機に国連などの機関が調査を始めた。その結果占拠したのは妖怪であると発覚し、すぐにそのことは公表された。当然ながらこの事件と合わせて平穏に暮らす妖怪に対するデマなどが広がり、排斥運動まで発生した。この排斥運動はやがて過激化・先鋭化し、ついには彼らは太平洋に面しており温暖な千葉県の成田以東を「聖地」と呼び、集結し「独立」を宣言するまでに至った。 ゲリラに占拠された成田以東は『人間第一郷』と呼ばれ、そこを通りかかった妖怪を殺し、また妖怪に親身な人間をも殺していった。それでも妖怪に殺されるくらいならそこに住むのもいいという言論も広がり日々人間第一郷の人口は増える一方であった。 これはそんな世の中の千葉県に生きる魔女、汐野梨沙の物語である。ただ平穏に暮らしたいはずの彼女もこの動乱に巻き込まれて何を思い、そしてどう生きていくのか、そんな物語である。 なお、この物語で行われている非社会的行為は全てフィクションであり、現実でその行為を行おうものなら罰金や逮捕等の処分を受けます。絶対にしないようにしましょう。
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