「ヤンリエッタ・デッレデーレです。覚えていますよね?」 (はあっ!?) ある日、俺は女の子から声を掛けられた……正直、人の顔はまあ、覚えている方で彼女とは初対面だと思う! 彼女が意味不明なことを言い出したことに当惑していた。彼女は西洋風(?)の名前に反して、長く艶ややかな黒髪、切れ長の瞳、スレンダーな純和風の美少女だった。 「やっと、逢えた~うふ♡」 俺と逢えたことを喜び、微笑んでいる。しかし…… 「いや、覚えてるも何も君とは初対面だよ……そのヤンリ……なんちゃらさんが俺に何か用?」 「小森です。現世では小森香澄と言います。私と先輩は前世に居た異世界サンクトで結ばれていたんですよ♡」 少し、イラっとした。厨二的には真名と呼んだほうが良さそうなヤンリエッタ・デッレデーレというふざけた語感が粒子加速器に掛けたかのように嘘臭さをとんでもなく増幅させている。 俺は彼女が虚言癖、妄想癖、重度の厨二病を患ってる程度にしか思っていなかったのだが…… 朝から不良とはまた、別の意味でヤバいやつに絡まれたことを辟易しつつも、どこか愛くるしい彼女のことが気になってしまうような可憐な容姿を持っていたのだ。 ノベルアップ+ 恐怖のチョコレート三題噺短編コンテスト応募予定作品