十二年に一回開かれる、天下一を決める武術大会「龍虎比武杯」。 一か月後に迫った大会に向けて、道士の韓凌白は仲間とともに、長らく仮死状態だった前回大会の覇者・岳伯都を目覚めさせる。 一見成功したかに思えた儀式だったが、彼らはすぐに誤ちが起きたことに気づく——呼び出して宿らせた魂の持ち主が岳伯都本人ではなく、同じ読みの名を持つ別人のものであることに! 新たな魂の持ち主は、場繋ぎの仕事で食い繋いでいるいたって平凡な青年だった。体は動かず、怖がりで、さらには江湖の「こ」の字も知らない平和主義者。しかしやり直すわけにもいかず、道士と仲間はこの男を鍛え上げ、「岳伯都」として開催の迫る龍虎比武杯に出させようとするが…… *** 【おもな登場人物】 ・岳伯都/岳白斗(がく はくと) 拳法の達人。しかしその中身は手違いで転生させられた一般人。岳伯都は前回の龍虎比武杯で優勝した天下一の豪の者だが、白斗自身は運動音痴で人を殴るのも嫌。なのに特訓して龍虎比武杯に出ることになる。 ・韓凌白(かん りょうはく) 道号「玄洞子(げんどうし)」を名乗る黒髪長髪の美形道士。方術に長けた知恵袋だが自分大好き。天曜日月教の幹部。 ・藍蝶蝶(らん ちょうちょう) 毒使い。苗(ミャオ)族の出身で蠱毒の扱いに長けているが、ある事件を起こしたために一族からは追放されている。天曜日月教の幹部。 ・何仁力(か じんりき) 人食い僧侶。ただし金持ちの三男坊以外は食わないという掟がある。人を食う以外は常識人。天曜日月教の幹部で武術師範。 ・胡廉(こ れん) 宮廷から逃げてきた元宦官。家事と医術に長け、やや陰湿な面がある。天曜日月教の幹部だが武功は四人の中で一番低い。 ・敖東海(ごう とうかい) 宗教結社「天曜日月教(てんようじつげつきょう)」の教主。韓凌白らの主人で、四人に岳伯都の蘇生を命じ、龍虎比武杯に出させるよう命令した張本人。 ※カクヨムでも連載中
読了目安時間:3時間56分
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