滅多に雨が降ることがないその村では、水不足による被害を避ける為に年に一度、「雨降らしの儀式」と呼ばれる儀式を行なっている。 「雨降らしの儀式」。それは村の長によって “巫女” として選ばれた者が、“神様” がいると言われている神聖な遺跡にてその身を依代として “神様” を憑依させ、雨を降らせる奇跡を起こしてもらうという内容の儀式。 この儀式を定期的に行うことによって、村は存続を保っていた。 しかし、その村に住んでいる少年「照真(てるま)」は、過去にその儀式に “巫女” として参加した者が村に戻ってきたことが今まで一度も無いことを疑問に思い、訝しんでいた。 ゆえに、今年の「雨降らしの儀式」の “巫女” として選ばれた彼の幼馴染の少女「日雨(ひさめ)」に儀式に参加するのをやめるよう勧めたが、日雨は「村の長が決定したことには逆らえないから」と首を横に振り、その翌日「雨降らしの儀式」を行う為に遺跡に向かってしまった。 「大丈夫! ちゃんと“神様”に、 “みんなのお願いを叶えてください” ってお願いしてくるからね!」 別れ際、笑いながら照真にそう言った日雨。 けれど、日雨が「雨降らしの儀式」を行なった結果は……。 「 “神様”は、ちゃんとみんなのお願いを叶えたよ? みんなのお願いは叶ったよ? だからわたしたちも君も、みんなもこれで幸せ! だよね?」 ※だいぶ後味の悪いお話。 ※救いなんてものは無い。 ※一部、挿絵有り(挿絵有りの話は、タイトル末尾に “★” のマークが付いています)
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