ある夏の日の明け方、砂浜で日課の早朝ランニングをしていた佐治美鶴(さじみつる)は、砂浜に一本の剣が流れ着き、砂に突き刺さっているのを見つけた。 何故こんなところに、ファンタジー世界にあるような剣が。そう思いながら美鶴が剣に近づいて引っこ抜くと。 「おお勇者よ!よくぞこの聖剣グランファレスを引き抜いてみせた!」 喋った。 事態を飲み込めない美鶴が何も言わないことを訝しんだグランファレスなる剣が戸惑いながら言うことには、元は普通にファンタジー世界の聖剣だったのだが、故郷の世界が崩壊してしまってこの砂浜に流れ着いたのだとか。 どうしよう、とお互いに悩んだところで、剣はもう一度自分を海に捨ててくれ、と美鶴に頼んだ。そうすればまた、どこか自分を必要としてくれる世界に流れ着くかもしれないと。 剣を海へと捨てるべく、美鶴は海に張り出した堤防へと走っていく。
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