女王の葬列
月白鳥
現代/その他ファンタジー
短編
1話
3,077字
2020年1月9日更新
女王が死ぬと遺骸は運び出され 民草はそれを莚に包み 葬列が始まる 通常遺骸を担ぐのは三人の高官で それ以外の民はその後ろに列になって続く 葬列は全ての民が力尽きて死ぬまで続けられる 葬列には全ての民が参加し 元の城には何も残らないとされる それは女王が死んだことによる民の哀悼とされ 数人の民を引き離したところ 分断された民はその場でぐるぐると廻り続けたという 葬列の目的地は不明とされる 女王の遺骸と民の移動先から推測される程度にすぎず 目的が判明しないからである それが民の本懐であるかも分かっておらず 民等は葬列跡の先に知らぬ何かを見るだけで ある葬列は国を縦断しその先まで続いたことが分かっており 墓地を目指していたとか あるいはどこも目指していなかったとも考えられる 葬列は長い時には数キロにも及び 葬列跡は非常に脆く 瓦解すると直後に消滅する 葬列跡を発見するのは非常に困難である 遺骸を担ぐ高官が死んで脱落すると 担ぎ手は交換され 徒に女王は鎮魂され 葬列は続行される 女王の遺骸を地に落さないよう 臨時の高官が存在するとされる 葬列跡で発見されるのは主に女王とは毛色の異なる民である
読了目安時間:6分
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