複数の刀剣男士と交わることによって審神者の霊力が変容し、ヒトの道を外れることが知れたのはここ一年での話だ。 この事実が公表されるまでは、その本丸の刀剣男士がヒトならざる者に変容した主を密かに葬るか神隠しを行うかして表沙汰にならないようにしていたらしい。あるいは、歴史修正主義者たちの勧誘に応じて身を隠したのだろうと言われている。 【一度ヒトの道を外れてしまえば、もう戻ることは叶わない。】 私の仕事は、ヒトの道を外れかかった審神者を見つけ出し、状態を判定した上で政府施設に収容を要請することである。送られた審神者たちは政府施設で霊力の浄化を行うと聞いている。 調査をしていると、思いのほか刀剣男士たちと関係を持つ者が多いことが知れた。霊力の安定のため、必要があって交わったまではよかったものの、その快楽に抗えずに落ちていく者の多いこと多いこと。 だから、私は刀剣男士とは関係を持たないと決めている。 そんなわけで複数の刀剣男士と関係を持たせないために刀剣男士と人間との婚姻制度が作られた。 まずは試しにと政府職員たちの間で契約が交わされることになり、職場恋愛を楽しんでいた者たちはその間で結婚をして、残った結婚適齢期の職員たちの間ではクジ引きで相手を決めた。強制である。 結果、私は一文字則宗と契約結婚をすることになったのだが―― ※『くじ引きで結婚相手を決めたら髭切が旦那になる話』と同一の世界観です。 ※2021年12月25日発行の企画本『レモンティーとアップルソーダ』に寄稿した作品です。 ※pixivにも掲載中です。
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