世界は3つの種族「人間」「亜人」「獣人」が統べる3つの国によって統治されていました。 「騎士の王の国」「不死の王の国」「獣の王の国」 ある時、あまりにも平和すぎる世界の現状を憂いた争いが好きな神様は世界に混沌をもたらす存在として、異世界人を転生させるという暴挙を始めたのです。 時の賢王たちは悩みました。 そして、争いの火種となる転生者ならびに転生者が持ち込んでしまった異世界のアイテムを異文化物質『カルティア』と呼んで、これを厳しく規制することを決めました。 カルティアが現れるのは決まって聖地ジッタハマ。 そこで、三方を険しい山脈に囲まれた聖地ジッタハマを背負う形で存在していたジーマタッハ村を、三国中立区域として整理し、その村の者だけが聖地ジッタハマへと立ち入ることができるようにしました。 つまるところ、 世界で唯一、異文化物質『カルティア』への一次接触が認められたのがジーマタッハ村でした。 そう、この世界へ転生を果たしたカルティアの生殺与奪はおろか、権利やらなんやらかんやらその他諸々の一切合切は、実質的にこの牧歌的で長閑な寒村の一存に委ねられたのです。 そんな新たな世界のルールが制定されて数百年。 エルフの村娘サティは今日も聖地へと赴くのでした。 異文化物質(カルティア)への優先交渉権(ディール)を懸けたオークションの開催を心待ちにしている世界中の物好き金持ちたちの期待に応えるために。
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