※(前半)改稿を予定しています。 基本的な話の筋は変わりませんが、少し補足的に入れたい部分があるので。お読みいただく分にはかまいません。 よろしくお願いします。 幕藩体制の弱体化と矛盾が誰の目にも明らかになってきた幕末。 京狩野(きょうがのう)の家に生まれた晋三(しんぞう)は書を読み、絵を描くことが好きだった。 だが両親は狂言師になれという。 初めは面白く思ったものの、やはり絵師の血はそれを許さなかった。京のあちらこちらで模写した絵巻は八十九巻を数える。 晋三は狩野永恭(かのうえいきょう)と画号を与えられたが、描きはじめたものは狩野派の絵ではなく「やまと絵」と言われる柔らかく艶(あで)やかな絵だった。 永恭と出会った綾野(あやの)という年下の少年も絵の道に進むことになる。 永恭から金儲けの匂いを嗅ぎ取った綾野は、押しかけて行った先で目にした「やまと絵」に魅了され、本気で弟子入りを志願することになったのだ。 わがままな師匠は弟子を振り回し、弟子はそれでも師匠について行く。それは終生変わることがなかった。 永恭は自分の好きな王朝文化をその場に実現させるために、絵ばかりではなく身の回り全てを変えていく。 名を冷泉為恭(れいぜいためちか)と改め、公家風の屋敷に住み、衣服も袍(ほう)や狩衣(かりぎぬ)を着るといった具合だ。 泰平(たいへい)の世は黒船の襲来と共に終わる。 攘夷派と開国派の対立が起こり、否応なしに京(みやこ)はそれに飲み込まれていく。 「私は絵が描きたいだけなんやけどなあ」 そう言っていた為恭も例外ではなかった。 冷泉為恭は、当時衰退していた「やまと絵」を描き続け、復古やまと絵の代表的絵師と呼ばれるようになった。 彼の美しい濃彩画(のうさいが)は今も各地に残る。 ▽▽▽▽▽ 本文の右上「Aa設定」から縦組みを設定してくださると読みやすいかもしれません。 お好みですが、よろしければお試しください。 ▽▽▽▽▽ 参考文献 本文末に掲載します。 ▽▽▽▽▽ 似非京言葉が出てきますが深読みするようなものではありません。 そのままの意味で捉えてください。でないと話が進まないので笑 むしろ言葉のおかしなところがあったら教えてください。よろしくお願いします(切実)
読了目安時間:3時間2分
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