この世界には、特殊な能力を持つ獣の種族が存在する。例えば、聖獣。古来から、それらは「聖なるもの」として崇められ、また畏怖されてきた。人間と獣が互いの領域をはかりながら共存し、ときには契約を結ぶことで互いに力を貸し合うこともあった。しかし、その均衡は、ある時を境に脆く崩れ去ろうとしていた― 獣と心を通わせることのできる聖獣使いの少女ロゼ。 そして、彼女の従順なる聖獣アルフレッド。 旅の目的が同じことから、同行することとなった見習い剣士ハーク。 ロゼは、自分が何者なのか知らない。 幼いころの記憶にあるのは、廃都市の乾いた瓦礫の山だけ。 ただ、一つだけ希望はあった。 自分に言葉を覚えさせ、獣と心を通わせることを教えたのち、姿を消した恩師の存在。 彼を探して、仲間たちとともに長い旅を続ける。 その旅が、いずれ自身の出生と世界の秘密を解き明かすということを、彼女はまだ知らない。
読了目安時間:8時間33分
この作品を読む