バキュラ
松宮 奏
現代/その他ファンタジー
長編
105話
124,972字
2021年2月28日更新
両親を洪水。祖父母を地震。妹を雷。 幼少期、災害によって肉親を全て亡くしたデスパイア王国のバキュラ王は、万物憎み、神を恨んだ。 朝になれば日が差し、夜になれば月が出る。雲が空を覆えば雨が降り、地盤が割れれば地面が揺れる。 望んでもいないのに勝手に与えられ、時に理不尽に奪われる。そんな生まれた時からの『当たり前』に疑問を抱いたバキュラ王。 王として暴虐の限りを尽くし、災害や自然といった、人間の人智を超えた存在ーーすなわち『神』と民から崇められる存在になることで、万物の神々を討つことを生涯の目標としていた。 一方、傍若無人な王ーーバキュラの暴君により、故郷と最愛の母を奪われたルキア。ルキアもまた神として人々から崇められている『バキュラ』という存在に疑問を抱く。剣の腕を磨き、バキュラへ復讐を果たすことを悲願としながらもそれを隠し、兵士として王都へと潜入を果たし、機を伺っていた。 二人の陰謀は多くを巻き込みながらやがて絡み合い、対峙する。 十六夜の月が絢爛と輝く空の下。バキュラはルキアを見つめて口を開いた。 「人間は神すら手にしていない物を、一つだけ持っている」 復讐の連鎖の渦の中で生きる、二人の男の物語の結末やいかに。
読了目安時間:4時間10分
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