『黄昏の魔術師が結婚する。』 そう記された身元不明の手紙が届いた。死の魔法を使う魔術師が娶るということはその人を生贄に大魔術を行うという意味だった。なにが始まるのだろう、どんな魔法が使われるのだろう、そんなことよりも私、サフィアは相手が気になった。どうして結婚するのだろうと気になった。なぜなら、リライ・フェーンズ、彼は破れた初恋の相手で、昔いい仲の相手だったからだ。 幾年経ってもなぜか引っかかる彼。未だに手放せない思い出、苦しくて久しく触れていなかった古傷を辿り、彼のくれた指輪を片手に私は彼の棲家、ボーデンベルンの滸へ向かった。そこで待っていたのは… 品行方正で眉目秀麗、成績優秀な彼がここまで変わってしまったのはなぜなのか。マザコンで名を馳せていた彼がほんとうに求めていたものは。はじめて出会った時、クラスに馴染めなかった私に一口くれたあのフルーツサンドは本当の作り手を知った時、私は彼が私を大切にしてくれたことに気がついた。 いつか同じものを作ってくれよとあの日渡してくれた指輪、今なら私も作れるようになったんだよ。 スフェーンの石言葉は永久不滅。 この石をくれた彼に報いよう。可愛がられることだけが愛じゃない。受け取ってくれなくてもいい。私は見せよう、私が長年燻らせていた愛の残火を マザコン魔術師を取り戻す、異世界ファンタジー。 初投稿になります。拙いながら一人でもこれ楽しかったと思ってくれたら嬉しいです。 乙女チック原作コン参加中です。
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