大切なものほど、永久を約束してくれない。 *** あまりに険しい道を進み続けるバスは、いつ転落しようとも誰も不思議には思わないだろう。 始発のバス停を発った後、快調に途中のバス停を通過しながら駅を目指す。 途中小さい集落からぽつりポツリと若い者が乗るくらいのものだ。 バス停を通過するごとに、釣りあがる料金に内心イラつきながら、今日もバスで中央を目指す。 いつも通り。いつもと同じ。 *** そう。何かが違うのかと聞かれれば、全くもってそんなことはない。 その場にいる誰も、異変なぞ感じてはいなかった。 *** もしもこの世の出来事がすべて、黙示録的に示されているのなら、僕らが生きるこの世界は、何によって決まっているんだろう。 *** いつも通り…。いつもと……同じ………… *** 「本日未明、始発のバスがループ橋でスリップ、崖下に転落しました。極寒の地での捜索は難航し、いまだに救助活動はできていないとのことです。バス会社によりますと、この便には通常十数名の乗客が乗り合わせており、今日も乗車していたものと思われます。続報が入り次第お伝えします」
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