人類を恐怖に陥れ、世界を侵略しようと目論む悪しき魔王・アドルファスを倒す“勇者”として国王に選ばれた少年・アレン。 自分たちの世界を守る為に魔王率いる魔族の軍勢と懸命に戦う彼だったが、圧倒的な強さを誇る魔王の力には敵わず、とうとう膝をついてしまう。 さらにそのタイミングで「勇者であっても魔王には勝てない」と判断した国王が魔王軍に全面降伏したことにより、人類は魔族との戦いに敗北。 アレンも「魔王を倒せないような勇者などいらん」と切り捨てられ、魔族たちに捕らえられてしまう。 魔族たちに殺されるか、奴隷にされることも覚悟するアレンだったが、魔王から命じられたのは「自分の娘の護衛役」。 何でも彼女の護衛をしていた魔族の1人がアレンとの戦いによって重傷を負ったことで仕事に復帰出来なくなったらしく、その責任をとってお前が代わりに護衛をしろとのことだった。 「何で敵のオレに自分の大事な娘の護衛を任せるんだよ」と困惑しつつも、ここで無駄死にするよりかはマシかと判断したアレンは、その役目を引き受ける。 そうして魔王の娘の護衛役を務めることになったアレンが紹介されたのは、屈強で恐ろしい風貌をした魔王の娘とは思えない、まるで天使のように愛らしい姿をした少女・メルフェレムであった。 しかし、どれだけ愛らしくても魔族は魔族。アレンは、どこまでも自由奔放で我が道を全速力で突き進んでいくメルフェレムのペースにたびたび巻き込まれては調子を狂わされ、振り回される羽目になるのであった。 「君も苦労するよねぇ」 「誰のせいだと思ってんですか」 「ふふふ……さぁて、誰かな?」 「(この野郎……)」 庇護対象であるはずの人類にはあっさりと裏切られ、敵であるはずの魔王には何故か娘の護衛を任されたりと何かと不運で苦労人な勇者と、そんな勇者を持ち前のマイペースさで振り回しまくる、少々性格に難有りな魔族のお姫様のお話。 土日を目処に、不定期更新です。 タグの「R15」とセルフレイティングは保険。
読了目安時間:3時間6分
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