──な、なに?何が起きてるの!? いつもと変わらない1日を迎えるはずだった。 暗い、とても暗い場所で。 「これ以上侵入を許すな!こいつら最近他の園も襲った──」 そんな声のあとに聞こえるのはうめき声。 影がよこぎる。 私は近くにいたまだ4歳ほどの逃げ遅れた男の子を守るように覆いかぶさり、小さくなった。 足音が近くで止まった。 息を殺し、じっとしていると上から声が降ってきた。 「驚かしてごめんね?」 優しく、温かい声に勢い良く顔を上げる。 「私は──。あなた達を助けに来た。」 そう言って手を私に向かって差し伸べた。 深く被ったフードから、赤毛が垂れる。 半分だけのぞく顔は、まだ幼い。 自分よりひと回りは年下だろうか? そんな少女が助けてくれるなんて…そう思った。 はずだった。 ──気がつけば、その少女の手を握っていた。
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