「女は勉強なんかしなくったっていいんだ!」 それが母さんの口癖だった。 愛想良く、明るい笑顔で、男を立て、子供を生み、家庭を支える。それこそが女の幸せなんだよって。 いつしか母さんとは喧嘩ばかりするようになった。可愛かった妹のことが、段々疎ましく感じるようになってしまった。 だから私は家を出た。 最後に見た母さんの顔は、やっぱりいつもの怒った顔だった。妹は何時も通り、ニコニコ笑っていた気がする。 私はただ、もっと学びたかっただけ。どうして分かってくれないの? 家を出て独りになって、私は現実に打ちのめされる。いつだって思い出すのは母さんの言葉。 きっと私の人生に意味なんてなかった。きっと私の人生に価値なんてなかった。きっと私の人生は誰にも理解を得られない。 きっと私の人生は幸福ではなかったのだろう。いや、はっきりと、不幸な人生であったのかもしれない。 それでも私はいつも通りにこういうのだ。「貴女のことなんて大嫌いだ」と。 ※アルファポリス様でも同名の投稿をしております。内容に差はありません。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/845630407/785373210
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