※表紙の絵は私が描いたものではありません。あの、神絵師である、まかろんKさんに、お願いして描いてもらったものです。まかろんKさんを知らない人はモグリ。ググってみれば神がかった人ってのが分かります。 ■■■■■■■■■■ 推理はゲーム。 そう言い切る根性がひん曲がった探偵、フー・ダニット。 彼の推理は、すべて頭の中で完結する。 まるでクイズを解くよう机上で完了する。そののち現場に赴き、答え合わせを行う。それでも的中率は実に96.32%となる。もはや彼にかかれば解決できない事件はないとさえ言い切れる。加えて、彼の性格を、よく表しているのが依頼人との駆け引きだ。 つまり、 フー・ダニットは依頼人とゲームを行う事を人生の愉しみとしている。 ゲームとは、無論、推理。 自分は事件を、すでに解き、解決しているにも関わらず、真実を口にしない。依頼人自身に推理をさせて詰まればヒントを出す。解決の糸口だけを与える。無論、ヒントは有料であり、依頼料とは別にヒント料というものを取る。その額、一回につき5万円也。 5万円とは一般庶民にとっては決して安いものではない。 むしろヒントを聞くのが膨大な数になればヒント料だけであり得ない金額になる。 もちろん、始めに依頼料もとっている。 これを平然と行うフー・ダニットを性悪と言わずして、何と言うのか? 彼曰く、 依頼人が出す答えこそが自分の答えよりも面白くて興味深い。だから金銭という負荷をかけて真剣に推理を行ってもらうのです。そして彼らの解を愉しむ。どういった感情で、どういった思考を行ったのかを考えるのが楽しくて仕方がないのですと。 そんな彼に、遊ばれる為、今日も哀れなる子羊(※依頼人)が彼の下へと訪れる。 推理の荒波が押し寄せてくる戦場へと。 さあ、哀れなる子羊よ、翻弄されて煙にまかれるがいい。 この謎多き世界の片隅で。
読了目安時間:2時間17分
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