歴史小説作家の編集者が、幕末にタイムスリップ! 作家先生の為、新選組に入隊して、突撃現地取材! もちろん、タイムスリップしたことも、仕事も、女性であることも秘密です! イケメンぞろいの歴史上人物に囲まれ、ドタバタ逆ハー生活! ……の、はずだったのですが。 あれ? 何かがいろいろおかしい。 今は……今はまだ、サヨナラは言わないで。 「先生のお役に立てますよう、命懸けで取材してまいります」 「……ダメだよ。そんなのいいから。必ず、俺のところに帰ってきてね」 密かに想いを寄せる小説家と共に京都を訪れるが、事故を切っ掛けに幕末へタイムスリップ。 必ず帰ることができると信じ、幕末を生きる少年として、取材の為、新選組へ入隊を試みる。 しかしすぐに副長・土方歳三には女だとバレてしまう。 その取材能力を買われ、諸士取締役兼監察として入隊を許されるが、絶対条件は、命令に背かないことと、女であることを隠し通すこと。 「今すぐ去りなさい。ここはあなたのいる場所ではありません」 「バカじゃないの」 女嫌いだからバレにくいだろうと同室になったが、いつも冷たい態度の沖田総司。 「ごめんね、怖がらせて」 「急に、いなくなったりしないですよね?」 初めての本音、初めての笑顔。 知れば知る程、惹かれていく。 「ありがとう。僕に、触れてくれて」 言葉にすればすごく陳腐な、ありきたりな感情だ。 名を付けるなら、今まで知らなかった感情だ。 真剣を持たないなら足で、走れなくなれば素手でも戦う。 戦場では誰も待ってくれないなら、自分から飛び込んでやる。 会えなくなるのは、現代に帰る時か、どちらかが死ぬ時。 別れは必ず、突然にやってくる。
読了目安時間:6時間27分
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