夏から秋にかけての新月の晩、お山に狐火が三つ灯ったら、それが市の立つ合図です。 作法は三つ。面をかぶって素顔を晒さないこと。提灯を持って歩いてゆくこと。そして、決して声を出さないこと。 守らなかったらどうなるかって? 行き着くことが出来ないか? 帰ることが出来ないか? それとも……。 ※不思議な物を売っている、あやかしたちの『狐火の市』を題材とした短編集です。昭和レトロとノスタルジックをどうぞ。 《お品書き》 ・僕と婆ちゃん編 京都弁 太一と、大好きなばぁちゃんのお話 ・姉妹編 広島弁 ミサキが行方不明の妹を探すために、狐火の市を目指すお話 ・猫又ニア編 新米猫又のニアが、妊娠中の飼い主ハルカのために、ひたすら頑張るお話 ・姉ちゃんの嫁入り編 博多弁 イツキと、歳の離れた姉ちゃんのお話 ・約束編 出雲弁 マサトとタク。幼い頃に交わした、大切な約束のお話です。 ・炭焼き小太郎 群馬弁 昭和よりも少し前のお話です。祖父から急遽炭焼き小屋を任された小太郎と、冬季休業中の狐火の市の面々のお話。
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