冒険者オドウッドは、朽ちた祠の薄闇にうずくまり、剣を携え、足音の主を待っていた。濡れた落ち葉を踏みしめながら、間もなく顔を覗かせるであろう者の正体を―― 黄昏の時代の、冷たい夜。いにしえびとの遺跡で彼に姿を見せたのは、旅装束の少女だった。何者かに追われ、傷ついたその少女――チッカのそばには、遥か昔に滅んだとされる、竜の子が寄り添っていた。 運命に導かれ、夜へとたどり着いた二人の旅人。 オドウッドとチッカは、火を囲む。互いに秘密と、意志を抱えて。 ※別のペンネームでカクヨムに投稿したものを、お引越しさせました。
読了目安時間:18分
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