卒業式の日、皆が帰った教室に居残って思い出話をする樹里とユリ。 卒業後、樹里は東京の服飾系専門学校へ行き、ユリは地元の大学へ進む予定だった。 クラスの中心的人物で皆の人気者、サバサバした性格のギャルの樹里。 教室の隅っこで本を読む、地味で目立たたないユリ。 正反対の二人が友達になったきっかけは、クラス替えから間もないある日、購買の列の前後に並んだこと。 人気のハムサンドが売り切れてがっかりするユリに、樹里は自分のぶんを半分分けてやった。 以来二人は急速に親しくなっていく。 樹里は小説家志望のユリを応援し、ユリは親友の樹里にだけ自分が書いた話を読ませる。 高校を卒業すれば進路は別々、心理的にも物理的にも距離ができる。 樹里はいずれユリが出すかもしれない本に自分と同じ名前の登場人物を出してくれとお願いし、互いに別れを惜しむ。 さらに卒業祝いにピアスを開けようと持ちかけ、自分が左耳にしているピアスの片割れをユリに見せる。 「特別な人の為にとっておいたの」 親友の本当の気持ちを知ったユリは、自分も樹里を大切に思っている事に気付くのだった。
読了目安時間:10分
この作品を読む