これは、僕と彼女の物語だ。 彼女、と言っても彼女は僕の恋人ではない。 あくまで、三人称の女性を指差しての『彼女』という意味だ。 けれど、僕は彼女のことが好きだ。 恋愛感情、と言えるほど熱いものかはわからない。 友情、と呼べるほど性的感情が含まれていないと言えば疑問符だ。 まあ、僕の感情などどうでもいい。 大事なのは、彼女と僕の考察の結果だ。 それ以外については、それこそ考察する必要も価値もない。 考察魔と呼ばれる、猫撫さん。 物事について、深く考え自身の意見を出す。 だけど、自身の意見は基本曲げない意地っ張り。 苗字の通り、猫目が印象的な、黒髪ショートの女の子。 女の子、と称するよりは女性と呼ぶのが適切なのかもしれない。 彼女は高校生でありながら、その思考と思想はそこらへんの教師よりも大人びているから。