海は貝を抱き 貝は真珠を眠らせる 真珠は永い夜を眠り その果ての目覚めの朝 一粒の朝露のように光を放つ 涙にも似た輝きの…… 地球を旅立つ宇宙船と、年上の女性に恋心を抱く少年の、ちょっと切ない物語。 ニュー・トーキョーに住む主人公の少年は、家族同様の年上女性と共に、エジプトの宇宙センター(※エジプトにある宇宙センターの設定はフィクションです)を訪れて……。 タイトルの意味は、物語を読んでいただければ納得できるでしょうか? 分類を短編にするか、長編にするか、迷ったのですが、ネットで調べると原稿用紙8枚~80枚くらいを短編と分類するらしいので、ま、ぎりぎり短編かな?と思い、短編に分類しました。 連載中の「創世神話(改)」よりも前に書き始め、1994年に修正を加えた未発表の短編SFです。30年ほどが経ち、少しだけ時代が近づきました。 最初は月面基地を舞台に書き始めたのですが、当時、アルバイトでお金を貯めてエジプトを旅した後だったこともあり、舞台を変えました。作中には私自身の体験も含まれ、砂漠の町の表現も自身の体験に基づいています。 拙い作品ですが、ほぼ当時のままで投稿します。構成は少し変え、8話構成だったのを、長かったものを2つに分けて10話に編成し直しました。 ちょっと切ないな、と思っていただければ本望です。