西暦2037年5月。北大西洋の中心に位置するグラン・エトルアリアス共和国は国際連盟からの脱退、及び核兵器禁止条約の署名を破棄し、世界特殊事象研究機構と締結する条約を破棄するという一方的な通告を全世界に対して発表した。 これらの発表に伴い、アメリカ合衆国をはじめとする一部の常任理事国や関係諸国は、同国に考えを改めるよう働きかける勧告声明を発表し、国際連盟の緊急総会の招集を求めた。最初こそ態度を明らかにしなかったロシアと中国も各国の動きに追随することとなる。 さらに、アメリカ合衆国ホワイトハウスは、同国が核兵器を秘密裏に保有している事実を掴んでいるとし、世界を核の脅威にさらそうとしているとの強い非難声明を発表した。即時に態度を改めない場合は強力な経済制裁を発動すると警告した上で、安全保障の為に軍を派遣する用意もあると発表した。 時は流れ、同年9月8日。グラン・エトルアリアス共和国は、大統領であるアティリオ・グスマン・ウルタードの演説を世界に向けて配信。演説の中では、これまで経済大国や関連諸国が同国に対し、いかに理不尽な行いをしてきたかなどを述べた上で、真なる自由の獲得と地位保障を求めると共に、報復の意志を示し全世界に対して宣戦を布告すると発表した。 世界各国による数か月に渡る呼び掛けも虚しく、同国は独断で第三次世界大戦への道を突き進んだのである。 その数日後、宣戦布告を受けて北大西洋上に艦隊を展開していたアメリカ、イギリス、フランス連合空海軍が先制攻撃を仕掛け、グラン・エトルアリアス共和国への進撃を開始。9月12日。両陣営による激しい戦火を持って第三次世界大戦の火蓋が切って落とされた。 しかし開戦後、敵国の圧倒的な軍事力の前に、半刻足らずで三国連合の敗北が決定的となり撤退を余儀なくされる。 以後、グラン・エトルアリアス共和国は連合国の攻撃に対する報復を表明。科学技術の粋を結集した強力な軍事力をもって、世界各国に点在する軍事設備を次々と襲撃し、僅か1週間の間に多大な戦果を挙げていくのであった。 事態を深刻に見た国際連盟は、世界連合を結成することを緊急決議。国連軍を組織し、国連憲章に定められた安全保障の各原則の理念に基づき行動を開始し、世界特殊事象研究機構もその動きに巻き込まれることとなる。
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