背中に羽を生やしたお姉さまが白鶴拳を駆使したり、 ダークエルフの兄貴が蟷螂拳を使って吸血鬼をボテくりまわしたり、 異世界のはずなのに、なぜか地球産の武術や格闘技等がハバをきかせてる奇天烈ファンタジー、ここに開幕。 第零章あらすじ: 大陸の主要八ヶ国を股にかけて治安維持活動をする『八州役人』の一人である有翼人のリアンは、偶然一組の姉妹と知り合いになる。 ――まさかそれが、世界を揺るがす大事件になるなど、想像の埒外で―― 『戒族』とは?『天戒門』とは?『八極』とは? 「守る為に、殺す。敵を。己を。そして世界それさえも。 祈る様に……殺す」 第一章あらすじ: 「ここは剣と魔法の世界ではない……銃と科学の世界でもない……――たとえ神秘があっても、何より‶暴力〟の異世界なんだ……!」 銀河系と呼ばれる世界の、地球という惑星の、その中でも日本と呼ばれる島国の、現代と呼ばれる時代で、一人の女性が冥府へと誘われた。 その女性はお世辞にも幸福といえない幼少期を過ごし、しかしちょっとした策謀と、何より暴力によってその不運を乗り越え、ごくごくありふれた、ごくごく当たり前の、ささやかではあるがかけがえのない幸せを築き上げ、そしてクモ膜下出血により、あっさりと、そして唐突にその50年の生涯を終えた。 そして死後の世界の俗に三途の川と呼ばれる場所の手前で、髭も髪の毛もすべて脱毛したとある神格に、こう告げられた。 「お前の次の転生先は、お前の望み通りにするなら、いわゆる〝異世界〟と呼ばれるところになる」と。 そこは暴力の世界。誰もが一騎当千という概念を、過剰に体現し得る世界。 ダークエルフの空手使いが山を殴り消し飛ばし、ドワーフの柔術使いが大地を裏返し、冗談抜きで天すらも覆い隠すほどの巨体を誇る龍を、ヴォーパルバニーの剣術使いが容易く斬り捨てる異世界で。 ここに語ろう。血で血を洗う暴力の世界で、それでもなおたった一つの愛を貫こうとした一人の華の物語を。
読了目安時間:3時間36分
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