「一度だけ言う、二度とは言わない。殺そう。僕と」 ――いじめられ続けた孤独な少年と、荒れた家庭で顧みられない不良少年。 異質に見えて同じ鬱屈(うっくつ)を抱えた二人は、誰かを殺そうと画策する。 それは復讐ではなかった。恨みを持つ者はそれぞれにいたが、彼らに対する復讐ではなかった。 復讐とは、虐げられている弱者が行なうもの。つまり復讐するということは、己が弱者だと認めること――彼らはそれができなかった。 代わりに選んだのは、見知らぬ誰かの命を嘲笑う――殺す。己は、それができる強者だと確認すること。 刃物を隠した二人の少年は、獲物を求めて歩き出した。 けれどその心は、いつしかすれ違っていて。 そして。少年はもう一人の少年に、その刃を向ける――。 ※本作に犯罪を助長させる意図、肯定する意図はありません。 ※実際のところ、テーマは「友情」であり「青春」。彼らなりの。
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