江戸時代を背景にした仇討ち物語である。 武士の出である万代半蔵はある日、道端にうずくまる少女と出会う。その少女に声をけると、泥土に足元をとられて足首を捻って動けないのだという。少女を助けようとする半蔵だが、その途端、少女は刃物を向け、変装をとく。半蔵が少女だと思っていたのは実は華奢で小粋な少年だったのだ。少年は名を夕岐ノ丞といった。彼に脅され仕方なく金をやるが、腕っ節だけは誰にも負けない半蔵。夕岐ノ丞が隙を見せたとき、打ち負かし、脅し返す。しかし、足首を捻ったことは本当だったようで次の村までおぶさってゆくことにした。 夕岐ノ丞は早くに母親を亡くし、今は父親を殺した憎き相手、仙崎清右衛門を捜して江戸に下ろうとしているところであった。そこで、半蔵の腕っ節をかわれ、江戸までの用心棒を頼まれる。乗り気がしない半蔵。第一、金に困って脅しにかかるやつに支払える代物はないだろうと断る。すると夕岐ノ丞は自分の身体があると言い出し、その夜ふたりは成り行きで寝所を共にする。 仇討ちの件、よくよく聞いてみれば仇は知り合いで、夕岐ノ丞ともむかしからの知り合いだった。それもそのはず、夕岐ノ丞は仇の仙崎を捜すと同時に、半蔵も捜していたのだった。偶然にも、出会えたことに縁を感じるふたりだが、喧嘩し、こころがバラバラになる。紆余曲折を経て仲直りし、もう二度と離れたくないという夕岐ノ丞に対し、半蔵は契りを交わすことにする。 江戸入りの日、突如路地裏から女の悲鳴がし、行くと仙崎の姿を見つける。ふたりは協力しなんとか仇を討つことに成功。しかし、夕岐ノ丞は仙崎に斬られて創を負う。創の療養のため、旅の途中で会った薬師に案内され旅籠に泊まるふたり。仇討ちが成功し、父親の敵をとったと泣く夕岐ノ丞を慰め、そしてふたりは諱を交わし、こころから結ばれる。 バディもの
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