かつて栄華を極めた文明が滅び過酷な環境となった星で、人々は山のように巨大な塔の形をした迷宮都市「塚」で暮らしていた。 塚の外は昼夜で50度近く気温が変動する荒野であり、狂暴な原獣がうろつく。イヴェットは、そんな過酷な外の世界から動植物や鉱物、旧世界の遺物を持ち帰る「探索者」を生業としていた。 灼熱の乾季を経て雨季が終わると、10年前に放棄された塚――トスカ廃塚近辺にまで水が押し寄せる。その境目は浜辺となり、水平線の向こうには今も人が生きているのだろう証の品が流れ着く。 イヴェットは漂流物の中に、10年前に別れた人の手がかりはないかと浜辺を行く。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)photo by クマキチ
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