海をまとう
洞貝 渉
現代/その他ファンタジー
短編
1話
5,654字
2022年6月20日更新
代り映えしない大量の水の上に、いつの間にか、人間が立っている。海鳥や跳ねる魚すら見かけたことがないのに、水の上に立つ人間が見えるだなんて、私もとうとう幻でも見るようになったか。 人間がさっと腕を大きく動かすと、それに合わせて水しぶきが上がった。 右へ振れば、水しぶきも右へ。左に振れば、水しぶきも左へ上がる。まるで人間が海をまとっているかのような不思議な光景だった。
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