「アリスレィア。君との婚約は解消だ! 僕はもう君の顔なんか見たくない。とっとと荷物をまとめて王宮からさがるといい!」 いきなり。そんなふうに怒り出す王子ラクラス。 でも事はそう簡単では無いはず。 と、反論するアリスレィアに顔を真っ赤にして言い放つ王子。 「ふん! もう君がそんなこと心配する必要なんかない! 大丈夫さ! 公爵家にはちゃんと替えがいるじゃないか! 僕は君との婚約は破棄し、妹のマリアベルと婚約し直す! それなら父上も母上も承知してくださるさ!」 「殿下は、マリアベルを愛していらっしゃるの、ですか?」 そう尋ねるアリスレィアに、 「ああ。僕は、真実の愛を見つけたんだ。それに、彼女はお前みたいなぽんこつじゃない、真の聖女であるからな!」 と、怒鳴り返した王子。 ♢♢♢ そっか。 あたしはもういらないんだ。 今まで頑張って厳しい妃教育にも耐えてきたけど、その努力もみんな無駄になったんだ。 ♢そうとぼとぼと王宮を後にする彼女。 魔力のない出来損ないのアリスレィアは公爵家でも邪魔者でしかなかった。 しかしそんな彼女に訪れた転機。王家から打診された王子との婚約に。 可愛いマリアベルが嫌だと言っているのに。 いくら国内融和、政治的な安定のためとはいえ、可愛い娘を人身御供にはできない、と。 そう言う父公爵によって王宮に差し出されたアリスレィア。 「お前をとっておいて良かった。役に立ったのだからな」 それが父からかけられら最後の言葉。 結局。 大人になって王妃になりたいと思うようになった妹によって自分の立場はまた無くなった。 王都を追放され、北の果て、辺境の地にある修道院に送られる道中、野獣に襲われたところを助けてくれたのは金色の美丈夫だった。 ■ 前世の記憶を取り戻し、真の聖女として覚醒したアリスレィア。 前世の契約者、精霊王マクギリウスに求愛され!? 果たして彼女は幸せを掴めるのか。 虐げられてきたぽんこつ聖女が真の聖女となって幸せを掴むおはなしデス。
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