私は見聞を広めるために遠い星から地球へやってきた。 ヒトに擬態して暮らすものの、どこに行っても私は「変な奴」と言われた。 地球での友達ができず故郷が恋しくなった私は、星を見に海へでかける。 望郷の念が溢れ、とうとう私は故郷の星へ擬態しようと体を巨大化させた。 溶け出した体が海と混じり合い、波が陸地を浸食しようとしたそのとき、私の視界の隅に一人の老人の姿が映った。 ★『寂しがりな宇宙生物は星空を見上げる』の姉妹作品です。 同一の主人公と世界観をもつ作品に、二通りの結末があり、どちらを掲載するか迷ったので両方掲載しています。 (冒頭から「このまますべてが悲しみに呑み込まれてしまえばいいと思った。」まではほぼ同じ文章です。) 相違点は下記の通りです(※ネタバレあり)。 『孤独な宇宙生物は悲しみの海をまとう』 ・メリーバッドエンド ・主人公が海で老人と出会う ・主人公は故郷の星へ帰ることを決意する 『寂しがりな宇宙生物は星空を見上げる』 ・ハッピーエンド ・序盤にイヌやネコについての記述を追記 ・主人公の仲間から通信が入る(老人とは出会わない) ・主人公は仲間のいる宇宙移民船へ向かう ※どちらか片方だけでもお楽しみいただけます。 ※GENSEKIコン(『海をまとう』)の参加作品です。
読了目安時間:20分
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