2023年3月、ある小学校で卒業式が執り行われた。そこで、一つの大きな問題が発生した。矢作ららという卒業生が暴れ始めたのである。エスカレートしたららの投げた椅子が、担任教師の女性に当たった。倒れた彼女。騒然とする体育館。ららは向かってくる母親に両腕を伸ばす。その時、立ち上がった女性の姿が。彼女は倒れていた椅子を掴むと、ららを殴り飛ばした。ららの担任だった女性の凶行に、体育館は悲鳴が鳴り響く始末となった。 次の日、橋本絵波(46歳)はなぜららを殴ってしまったのか悩んでいた。夫と息子と3人で幸せな家庭を築いてきたのに、このままでは教師としてのキャリアを失い、自分は破滅してしまう。それを回避するためには、殴ってしまった止むに止まれぬ理由を見つけ出し、それをららの両親に伝えて示談に持ち込むしかない。そう考えた絵波はまず、ららと過ごした1年、そして自らの半生を振り返るのだが……。 この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
読了目安時間:3時間25分
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