俺は嘉神亮祐(かがみりょうすけ)。どこにでもいる普通の男子高校生、もう少し言えばあまり人付き合いはよくない。それにも色々と理由があるのだが、ここではいったん置いておこう。 高校二年になった春の朝、俺の家の呼び鈴が鳴った。さっきも言ったように俺は人付き合いがいいとは言えないので一緒に行こうと約束している人もいない。訝しく思いながら俺はドアを開けた。 そこには俺と同じ制服を着た美少女が立っていた。とりあえず話を聞こうとその美少女を家に入れると 「先輩! 好きです! 付き合ってください!」 唐突に言われたその言葉を俺は断った。 だがそこから、俺の人生は変わった。 なぜか知らないがいきなり同棲を始めることになり、少女の家事、勉強、スポーツのスペックの高さを思い知らされる。料理はプロ級にうまく、勉強も大学受験ができるレベル、掃除も完璧で、運動は構内トップクラス。 そこだけ見ると、とてもいいように見えるのだが、 「先輩! 一緒にお風呂に入りませんか?」 「先輩! 私の体操服いりますか?」 「先輩! キスしてください!」 と、この調子だ。 挙げ句の果てには料理に媚薬云々をいれる始末・・・・・・こいつ、やばくないか? そんな頭のおかしな美少女と住んでいると、どんどん俺の周りも変わってきた。同じ部活の女子、義妹の様子が徐々におかしくなり始め、さらには許嫁まで!? おいおい、勘弁してくれよ。 恋敵? が現れるたびに加速していく少女の暴走。一体俺はどうなってしまうんだ! 「ちょっと先輩! あらすじで私の名前言ってないじゃないですか!」 「ここにまで登場するな・・・・・・」 「先輩あるところ私ありです」 「プルルルル・・・・・・あっ、もしもし警察ですか? 今、ストーカーに」 「あわわわわ。ピッ。何してるんですか?」 「そりゃそうなるだろ」 「どうしてですか! 妻が夫についていくのは普通ですよ!」 「妃菜(ひな)・・・・・・少し黙れ」 「ようやく呼んでくれましたね!」 「はいはい」 「妃菜に振り回される俺と」 「亮祐先輩に好かれたい私」 「二人の悲劇が」「二人の純愛物語が」 「「ここに始まる!!」」 「ところで、先輩。キスしてくれますか?」 「拒否する」
読了目安時間:3時間54分
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