ダークファンタジーな世界観を含む作品を集めた短編集です。 <あらすじ> 【門番】 静寂な暗闇の只中に佇む、堅牢な乳白色の扉。その傍に控える彼は主人を守護する門番であり、命の扉を解錠する鍵そのもの。 僕はこれから門番を説得し、命の扉を開扉せねばならない。天資救出師として夭折した賢才の才能を救い出し、世に広めるためだ。 けれど初めてそれを躊躇うことになる。それはひとえに、優しいあなたのせい。 【星の在処】 この国の基底部に位置する階級、「ベース」。彼らを見守り、迷い人があれば手を引く「サテライト」と称される役人が私だ。 いつも通りパトロールに出たとある夜。暗がりに怪しげな人影を見た。 呼び止め、振り向いた面差しに蘇る記憶。紐解かれる呵責。 大事な記憶と引き換えに志願者へと門戸を開く階級、ベース。どうして君がここに。 来たる再会の日に期待した和解。 今となっては、その理由すら私の中だけに留まる残像。 新しくなった君の瞳の奥に漂う星屑は あのときと同じだった。 その胸のどこかに、あの頃の私たちがいると、期待してもいいだろうか。 この再会の意味を、共に見届けてくれないか。 <ご案内> 本作に登場する「エル」は一人称を「僕」としておりますが、作品中にその性別は表現しておりません。お好きなように想像してお楽しみくださいませ。 【選択淘汰】 ここは善の国。個人の社会貢献度や善意を国が監視している。そんな世界で正しい道を踏み外した僕は、彼に出会った。彼は「評価者」。僕がこの国にいるべき存在かどうかを、この一週間で評価する。 自分を諦めた僕に、この世界への未練などない。どんな評価も受け入れよう。たとえそれが、最期通告でも。 <ご案内> 本作の主人公「僕」は作中にその性別を特定していません。ご自由に想像してお楽しみください。 厭世的な表現を含みます。苦手な方はゆっくりと読み進めてくださいませ。
読了目安時間:57分
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