『リーヴェンデッテの聖騎士団長・レーナクロード・シルヴェストルは、異世界の少女と恋に落ちた』。 巷で囁かれていたそんな噂によるものなのかそうでないのか、幼馴染であり婚約者でもあるレーナクロードから婚約解消を申し出られたエリシュカ・アーデルハイド。 しかし噂を知った時からいつかこんな日が来ると思っていたので戸惑いもなく、エリシュカはその申し出にあっさりと頷いた。 そうしてその話はそこで終わった――そのはずだった。 エリシュカに、目覚めたら季節が変わっていたなどという異常事態が起こらなければ。 目覚めてなお自分を襲う異常な眠気に、これは魔術によるもので、それに干渉した者がいる故に目覚めたのだと察したエリシュカは、エリシュカを目覚めさせた張本人でありエリシュカの協力者でもある何でも屋・エッドを呼び出す。 エッドにより、エリシュカが眠ってから三月経っていること、エリシュカを眠らせた魔術が宮廷二位魔術師・スヴェン・エルニル・ロードの手によるものであり、依頼主はレーナクロードであること、レーナクロードたちは『異世界の少女』と彼女を正式にこの世界に迎える儀式を行う旅に出ているということを知ったエリシュカは、事のおおよその一連の流れが読めてしまった。故に『最低最悪クズ野郎も真っ青』なことを『異世界の少女』に行っているだろう元婚約者を止めるために動き出す。 聖騎士団副団長のアシュフォード・ルノーに協力を取り付け、レーナクロードの母・セシリアに会い、下調べと準備を整えて、元婚約者を一発ぶん殴るために彼の元へ向かうのだった。
読了目安時間:2時間0分
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