バレンタインデー当日。今や時代は国際化(インターナショナル)時代。多様性(ダイバーシティ)を受け入れるのにやぶさかではない時代であれば、乗るしかないそのビッグウェーブに! ということで、コツコツ貯めた小遣いとバイト代で購入した真っ赤な薔薇の花束を持って、足掛け十五年恋した幼馴染へいざ告白! と隣のクラスを訪れた越後 櫂(えちご かい)高校三年生。 クラス一同衆人環視の中での告白はあえなく玉砕。地面に散らばった赤い花弁を半泣きで回収しながら馴染んだ生物の準備室に駆け込んで、しくしくと膝を抱えて丸くなっていた彼の前に現れたのは、銀縁眼鏡と無精髭がトレードマークの生物教師、和泉。 いつも通りに憎まれ口を叩きながらも、そっと差し出された味も香りもろくにしないコーヒーを受け取って、ふと眺めた棚に並んだインスタントコーヒーの空き瓶たち。その意味を悟って見上げた無精髭だらけの顔が、何やらいつもと違う風に見えてきて——? 見た目は美少年な極北国とのハーフ、その実、ボケとツッコミハイブリッド属性な男子高校生の幼馴染の女の子への当たって砕けろなバレンタインデーの告白と、そこから振り返る銀縁眼鏡無精髭な生物教師のおっさんと何かが始まるような始まらないような微妙な距離感のアレコレ。 恋は始まるのか始まらないのか? 天然小僧となんだかんだよろめきがちな大人げないオブ大人げない生物教師 VS こじれにこじれまくった恋する少女のややこしいテンション高めのラブコメディ。お楽しみいただければ幸いです。
読了目安時間:2時間39分
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