ヤコビニ王国所属の冒険者、ライモンド・コルリはある日、王国内のダンジョンでボスの魔獣を倒した際、装備時の補正ステータスのぶっ壊れた虎の着ぐるみを発見する。 見た目はともかく強くなるなら、と着ぐるみを装備するライモンドだったが、着用して頭を被った途端に着ぐるみの頭と身体がくっつき、おまけに背中のジッパーも消えてしまった。 虎の着ぐるみは呪われており、一度着用したら二度と脱ぐことが出来ず、着用者は着ぐるみに洗脳された末に喰われて取り込まれてしまうのだ。 所属していたSランクパーティー「噛みつく炎(モルデレフィアンマ)」から「呪いを解くのに金と時間をかけるのが勿体ないし、臭くなったら耐えられない」と教会からの帰り道で追放されてしまったライモンド。 落胆しながら教会への道を引き返していると、自分の着用する着ぐるみが話しかけてきた!? 呪った人数がライモンドでちょうど100人で、ライモンドを喰えば1,000人目だという、ディーデリック・ノールデルメールと名乗った着ぐるみの魔物は、もうヒトは食い飽きたと言ってライモンドへの助力を申し出る。 おまけに洗脳を応用して、今まで食らってきた冒険者の知識と経験を上乗せしてくれるおまけ付き。 冒険者数百人分のステータスを手に入れて最強になったライモンドとディーデリックは、小柄ながら強力な魔法を操る魔物の冒険者エレン、弓を扱う変わり者の治癒士ロドリゴを仲間に加え、当代の魔王・頑健王ヘイスベルトを討伐する旅に出る。 ライモンドを追放したことで冒険に苦戦する「噛みつく炎」を尻目に、彼らは遂に魔王城に到達し、ヘイスベルトと相対する。 頑健王の名の通り、凄まじい防御力と体力を誇るヘイスベルトに苦戦する冒険者。するとディーデリックが身体をライモンドに明け渡しての融合を進言する。 有無を言わせる間もなく融合し、消滅したディーデリック。仲間を失った悲しみに暮れながらも魔物と化したライモンドはヘイスベルトの討伐に成功し、魔物として次代の魔王候補に名を連ねるのだった。 表紙イラスト:NovelAI Diffusionにて生成 ※カクヨム様、エブリスタ様でも並行して公開しています。 https://kakuyomu.jp/works/16817330648503512870 https://estar.jp/novels/26051460
読了目安時間:2時間52分
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