インターネット上に密やかに存在するそれは「灰色のページ」と呼ばれていた。 特殊な状況、問題、現象、事件に困った人間が検索を繰り返すとある時、たった一ページだけがヒットする。 「灰色の問題でお困りですか?」 そのページをクリックすると進むのは真っ白なページに一文。 「誰にも理解されない問題でお困りでしたらその内容をご記入し、送信ください。当方の範疇に当てはまるものである場合、あなたをお助け致します」 そうして状況を送信すると返信が返ってくる。そうして、理解不能な出来事を解決してくれる者が現れると。 ※ 「灰色」を生業とする日昏マチと纐纈ヒムラは依頼を受けた。待ち合わせ場所に現れたのは小さな子供と、その母親。 母親はある頃から自分の子供に〝違和感〟を感じるようになったと言う。それはほんの些細なはじまりましから、まるで誤差のような違いだった。 けれど、けして知るはずのない言葉を喋り、それまで大切にしていたものに一切の興味をなくし、興味のなかったものを好む。母親にはそれが成長故のものとは思い切れなかった。 そしてある日、息子の宝物入れの中に奇妙なものを見つける。それは以前、川へ遊びに行った際に息子が持ち帰った石だった。 思えばその石を持ち帰ってからだった。 息子の様子がおかしく感じ始めたのは――…… ※「依頼人」に起こる様々な不思議な出来事、グレーゾーンの現象を解決していく怪奇系ミステリー。
読了目安時間:49分
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