エヴァンゲリオン三号機の使徒汚染、それに伴い発生した第一次ニア・サードインパクト。これらを総称して『三号機事件』と言う。 この事件は、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンへの決定的な不信を人類社会に引き起こし、それは大規模な政治的混乱へと発展した。 国連はインパクト発動の原因が判明するまでエヴァの使用を禁止する決議を発令したものの、まもなく第3新東京市に第10の使徒が襲来。 戦略自衛隊はこれに対し全力で迎撃を行ったものの、エヴァ以外の兵器では突破不能なATフィールドを持つ使徒に対し、通常戦力は無力であった。 使徒とリリスの遭遇は不可避であったかと思われたが、土壇場で投入されたネルフの新戦力、空中戦艦Bußeにより第10の使徒は撃破され、当面の危機は去った。 しかし、使徒と人との戦いに区切りがついてなお、人と人との争いは、終わるどころか熾烈を極めていった。 混沌を極める情勢の中、それぞれの定義する『人類補完計画』発動を狙った各国ネルフ支部および各国正規軍は第3新東京市への軍事侵攻を開始。 ネルフ本部地下の第二使徒リリスをめぐり、関東・東海地方を中心とした大規模軍事衝突、後に『第3新東京市戦役』と呼ばれる戦争へと発展した。 その混乱を縫うように、何者かがネルフ本部ターミナルドグマに自律制御化されたエヴァンゲリオンMark.06を投入。その結果、第二次ニア・サードインパクトの発生を招くこととなった。 しかし、サードインパクト発生を予期した反ゼーレ・ネルフ組織「ヴィレ」は、ラグランジュポイントに隠匿した無数の封印柱を大気圏外より投下、インパクトにより発生するであろう『地上の浄化』に伴うL結界の洪水より人類を護る結界地域を世界各地に展開する『アスクレピオスの杖』作戦を発動。 人類生存可能地域が確保された結果、数億の人類が赤く染まった地球上に生残することとなった。 そして10年の歳月が流れた。 艦長碇シンジ大佐、副長式波・アスカ・ラングレー中佐指揮の元、第10使徒迎撃、第3新東京市戦役、今なお補完計画を狙うネルフとの戦いを経たヴンダーは、次なる戦いに備え、新たな乗組員を迎えることとなる。 三号機事件より10年。碇シンジと式波・アスカ・ラングレーの新たなる旅路が始まろうとしていた。
読了目安時間:14時間40分
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