縁-えにし-
きぬ子
現代/その他ファンタジー
長編
85話
216,492字
2023年5月20日更新
榊ひよりは普通の人には見えないモノが視える。 孤独な彼女のそばには和服姿の帯刀した男ーー「先生」が常に控えていた。 自身を守って導いてくれる先生は、ひよりにとって最愛の人であり全てであった。 そんな彼女が高校卒業を間近に控えた頃、幼い頃に見ていた夢を頻繁に見るようになる。 見覚えのある夜道、祭り、子どもの声。 それらはまるでひよりをどこかへと誘っているかのようだった。 何かを知っている先生は、彼女を守るため突然何の前触れもなく別れを告げて姿を消してしまう。 絶望に暮れていたある日、特殊体質の能力を持つ従兄の榊葵(さかきあおい)とその親友で刑事である佐々木巧(ささきたくみ)がひよりの元へ訪ねに来た。 彼らはとある神社での失踪事件の捜査協力を、ひよりに求めに来たのである。 それは十年に一度、茜川小学校の生徒が行方不明になるという内容であった。 四十年前の中尾将平、三十年前の小宮佳奈、二十年前の遠藤真希。 行方不明になった子どもの名前は、いずれもひよりが幼い頃に夢の中で遊んでいた友達の名前と合致していた。 「残念だけど、もう迷ってる場合じゃない。このままだと君も他の子たちと同じように連れてかれるよ」 孤独な少女は従兄と刑事と共に、先生を救うため怪異に挑むことを決意するのだった。
読了目安時間:7時間13分
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