雲海を泳ぐ長命の鯨の背中で、肺呼吸の生き物たちは生きている。 一体の鯨が老いて死ぬとき、選ばれし王の血族が新しい鯨と契約をし、新たな大地を生み出さなければならない。 さて、奴隷の少年イース=イーダは、先の戦争で理由もわからず地下牢にとらわれていた。彼には古の王族の血が薄く流れていたのだ。血筋を理由に解放され、契約者として命を握られたイース=イーダは、政治家たちの言いなりになることを嫌悪し、鯨上都市の片隅で雲海を睨みつける。 イース=イーダが身投げをしようとしていると勘違いし、声をかけてきたのは、海女として生きる少女ヘルミだった。 空の上の歪な街で、少年と少女が出会い、小さな白鯨を連れて、旅をする。これはそんな、どこか温かくて、さみしくて、優しい物語。 ☆キャラクターデザイン、イラスト:ふぬゅ様(Twitterアカウント→https://twitter.com/fufufu_matsu) ※カクヨムにも掲載しています。
読了目安時間:15分
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