天界で暮らしていた竜人族の少女ロアは、人間や妖精種の暮らす地上での生活に憧れていた。 祖父が教えてくれた『楽しい』を見つける為に天界を飛び出したロアであったが、それはまだ幼かったロアにとって予想だにしていなかった、辛い別れの連続という結末に終わってしまう。 世界には楽しい事が沢山ある。 けれど、竜人族は長命な種族。 人間達と触れ合うには生きている時間の流れが違い過ぎた。 心に深い傷を負ってしまった幼いロアは、幼馴染のミトと共に始めた『便利屋』の仕事もほったらかして、一日の大半を家に引き篭もって過ごす様になっていた。 そんなある日、ごろ寝して暮らす毎日にもすっかり慣れてしまったロアの元にミトが依頼を持ち込んで来た。 生活費を稼ぐつもりで出掛けたロアの元に現れた名前も知らない依頼主は、多額の報酬を提示して、“世界を救って欲しい” と告げた。 なんでも竜人族が生まれながらに持つ固有能力。その中でも特異能力に分類される『ギフト』を持つロアにしか出来ない事だと言う。しかし、長い間怠惰な生活を送っていたロアにはギフトの力が使えなくなってしまっていた。 再び能力を使える様になる為には、冒険者となって自分を鍛え直す所から始め無ければならない。 そんな面倒な事は嫌だと一度は断ったロアだったが、別れ際に言われた“見た事の無い楽しいを見られる” という言葉が頭から離れなかった。 胡散臭いと思いながらも依頼を引き受ける事にしたロアは、幼馴染のミトと共に冒険者になる事を決意する。 この作品は小説家になろう様にも掲載中です。
読了目安時間:1時間19分
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