上手いんぼ。 第三話『名前の妙』 「瑠嶺さん! 大変! これを見て!」(女性新聞記者:クリ田クリ子。以下クリ) 「なんだ? 今、シカ男子~マッスル競輪~のガチャが当たらなくてイラついてんだけど?」 クリが差し出してきた雑誌の記事。 そこには《あの男》のニヤケ顔写真が掲載されていた。 = 至高の名前出しとは = という見出し付きだ。 『最近《究極の小説》とやらを企画している新聞社がおるようだが片腹痛い。どうせ「僕の名前は〇〇」という書き出しで満足しているような四流記者の企画だろう。もうちょっと頭を使って考えるべきだ』 「瑠嶺さん……これって酷くありませんか?」(クリ) 「ほっとけよ。どうせ名前の出し方どころか、タイトルすら見てやしないくせに。難癖付けてるだけだ」 「でも……」(クリッ) 郊外にあるバー、【るみ星】。 夕刻。そこに瑠嶺とクリはいた。 「クソが。ロボコンの時といい、今回といい。こんなもん、偶然じゃねえだろ。人を小馬鹿にしやがって……何か恨みでもあるのか?」 「瑠嶺さん、飲み過ぎですよ。そんなもの、偶然ってことにしたらいいじゃないですか。さっきはほっとけよって言ったくせに」(クリ) 「公の場で《これは最高ですね~お前のは駄目だ》、と暗に言われているようなもんだ。おいバーテン! コーヒーお替り!(瑠嶺はコーヒーで酔えます)」 そこへある男が現れる。新聞社編集局長、山谷である。 山谷はクリ田のスカートの中をチラ見し、瑠嶺の隣席に着いた。 そしてあの雑誌記事を瑠嶺に見せてきた。 「名前出しなら”吾輩は猫である”を参考にしたらいい、か。君も随分舐められたものだな」 「!!」 「君の『吾輩は猫、デアル』を読んでいれば、クソみたいな作品だと言っているようなもの。知らなかったというのであれば、君の作品など読んでいなかったという事になる。そう思っているのだろう?」山谷 「実際そうだろうが」 「うむ、実際そうだな。そうだとしても、それを挑戦状として受け取ってみてはどうかね」山谷 山谷はクリ田女史の太ももを撫でながらそう言った。セクハラ駄目。 「くっだらねえ。でもまあ、俺が本物の名前の出し方ってやつを見せてやるよ。どうせアイツには読まねえだろうがなぁ!」 はい。作品どうぞ。
読了目安時間:2分
この作品を読む