嘗て、即ち過去の時代。 太古の時代から人類は発展と戦争を止める事はなく、延々と戦いを続け、死の螺旋は異常とも呼べる程までに広がっていた。 そして現代、戦いに次ぐ戦いで地球の環境は破壊されていき、次第に人の住める環境は狭まり続けていた。 西暦2073年。遂に地球は数多の環境破壊と大量の兵器の生産及び廃棄により、定住する事の出来る場所は大いに狭まっていき遂には人類の一部は地球に住む事は出来なくなってしまった。 地球に残された数少ない内の人類であり、平和と和平を貫く国家である「フォルマディア」の国王はこれ以上地球に住む価値を見出す事が出来ず、国民や国の重役達と共に、自国の高い技術力をもって、新たな居住区として「月」へと脱出。 この大きな移民計画は成功し、フォルマディアの国民達は地球とは別の星で新たな平穏な生活を謳歌していた。 だが、一足早く新たな居住区を発見し、何も報告しなかった事に対して強い反感を覚えた軍事国家である「ヴォクティアルス」はフォルマディアに交渉。月の領土をヴォクティアルス側にも一部譲渡する様にと迫った。 しかしヴォクティアルスと長年ほぼ冷戦状態、言わば一触即発の関係になっていたフォルマディアはこの交渉を拒絶、及び拒否。 その結果にヴォクティアルスは交渉を決裂。その後軍事国家であるヴォクティアルスは交渉を拒否したフォルマディアに対して、秘密裏に壊滅作戦を計画。 月の領土の違法的独占と言う大義名分の体で、ヴォクティアルスの特殊部隊による武力介入が行われる事となった。 しかしその武力介入と言うのは、ヴォクティアルス最新鋭の技術を用いて、この作戦の為だけに製造された戦闘機「DZ-S-08 シュナイダー」一機のみを使用して行われると言う無理難題もいい所の作戦だった。 志願すれば生きては帰れない、と言う事ぐらい誰でも分かってしまいそうな程に無謀な作戦。 だが、二人。この作戦に志願する者がいた。 あの空に、再びあの青くて平和な空を見せる為に....。 二人は死を恐れず、その鉄の羽を広げて空へと向かっていった...。
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